配信をはじめて1年が経った。
最近は『オンライン化の決断早かったですよね。』と言われるようになったけれど、はじめた頃は、出る側の人間が撮る側にまわるなんて格好悪いとか、田中も落ちたとか(元々高い所にいた訳ではないのに何故かこれは頻繁に言われた。)そんな暇があったらランチしたりテイクアウトしたり、もっと実直に店の運営をするべきだ、とか散々言われた。まぁ何をやっても何か言う人は言うので全く気にしていなかったけれど(メンタル強めw)、そう言っていた人たちも私も、ここまでお酒に対する世間的な評価が厳しいものになるとは、思っていなかった、はず。
今となっては皆がオンライン化を検討せざるを得なくなり、自分のコンテンツ配信が滞るぐらい、配信や機材についてご相談いただくことが増えてきた。1年前まで、ISOって何?スイッチャーって何?という状態だったというのに、自分でもよくやっていると思う。
とはいえ、私は運が良かった。まだ手探りの状態だった時、機材の女神に出会えたのだから。機材の女神 ― 森下千津子さんの噂は知り合う前から聞いていた。特に、配信で名をはせる人々からその名前をよく聞いたということが、私にとっては重要だった。「森下さんがこう言った…」「森下さんも扱うと言っていた…」誰かがふとした拍子に女神の名を口にすると、他の人の顔になんともいえない奇妙な表情が浮かぶ。『振り向くな、銃を持っている』と言われた時のような、抗えない、という人間の表情。つまり配信業界で、彼女はカルト的な人気をかちえているのである。
彼女の元に熱意あふれる若手配信家達がつめかけ、手伝わせて欲しいとか、どうか額の汗を拭わせて欲しいと懇願するのは、彼女が配信機材を扱うプロ機材ドットコムの社長だからではない。配信の巨匠達がオンラインスクール(LSS)での講座を快諾したり、全国からスタジオコンサルティングの依頼が舞い込むのは、ただ他よりも機材が安価だとか、喋り方に愛嬌があるとか、何故かいつもお菓子をくれる、といった理由からでもない。最上の酒はあらばしりでもせめでもなく中汲みだ。優れたものは評価されて当然だ。気の利いたキャッチフレーズで視聴者の心をとらえ、自分の名を冠したできあいの調味料を売ろうとする派手な料理家がいる一方で、日ごとキッチンに休みなく通い、素朴な外観だがとびきりの味をみごとな手際でつくりあげるシェフがいる。いうまでもなく、私は前者にうんざりしているし、後者を非常に高く評価する。
以前NOTEでもご紹介したが、女神のガシェット愛は常軌を逸しており、自分が使うならどうするか、そして実際にやってみるという点で、ずっと真剣である。彼女はさすらいの配信修行を繰り返し、銀行口座の額を増やすことよりも、経験を積むことに努力を傾け続けている(多分)。まずコロナ禍が予想もされない時から、機材を販売するだけではなく “冷房設備を後回しにして”、猛暑の沖縄に配信スタジオをつくってしまうほどだ。
私のいわんとすることがお分かりだろうか?
私なら絶対にそんなことはしない。
英語と中国語が堪能で、機材についての知識もある。優良顧客もついていてネット販売は極めて好調だとしたらどうだろう?厚かましくも機材のコマーシャルに出演し、自分の名前を冠したスタジオセット ― 恐らく品質は微妙になる ― の販売会社の上海支店近くのプールサイドでのらくらし、酒の飲み過ぎでプヨプヨしているに決まっている。(あくまで田中の個人的な見解ですw)せっかくそこまで出世したのに、おいしいところを全部捨てて、使っていない機材は売りたくないという理由だけで、一から配信スタジオをつくるなんて、到底考えられない。私だったら、配信番組で顔を売って、販売会で韓流アイドルに宣伝してもらいながら反省会と称したディナーで親密にぺちゃくちゃ喋り、有名人としては今後ジャージで外出するのは気をつけなくちゃいけないな、などと考えるのが関の山だろう。とにかく、まず間違いなく、先に“エアコンをつける”。
前置きが長くなったけれど、そんな機材の女神の、プロ機材ドットコムさんのサイトリニューアルにともなって、配信事例として掲載いただいてしまった。どんな機材使ってるの?というご質問も最近多いので、これからはじめたい方、田中の配信どうやってるの?という方はこちらをご参照ください。(画像をクリック)
お時間ある時に他事例も是非お目通しを。沢山の事例で明らかな事は、機材の女神が海千山千の配信スタジオコンサルタントであることと、配信とはどういう事か、何が簡単で何が難しいのかということが煙のようにぼんやりしている初心者の「こういうことがやりたい」にどれだけ真摯に向き合っているかということだ。
余談
最近は常にメイクされているので照れ隠しにもけなすポイントがなくなってきたのだが、言いたいネタがないこともない。ただ長くなってしまったので、それはまた次の機会に。
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